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 本市は,「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」である世界文化遺産「富士山」の麓に抱かれ,美しい自然に恵まれた高原の都市です。市内のほぼ中心に教育委員会があり,その一翼にある当研修所は,昭和27年に設立された県内でも有数の歴史をもった研修機関並びに教育研究機関であり,本市の教育の振興及び児童・生徒の健全育成に大きな役割を果たしてきました。
 富士北麓に生を受け,朝な夕な富士山を仰ぎながら生活する私たち富士吉田市民は人生の骨格となる大切な教訓を学び,富士山とともに歴史を紡いできました。ここから,市民全員の教育規範であり,教育指針である「富士山教育憲章」が昭和60年に制定され,富士吉田教育の理念として確立しました。
 そして,富士山教育憲章の理念を具現化するために,学校教育はもとより,社会教育を含めた市民総参加による教育活動を通じて,「富士山をかがみとした心豊かでたくましく国際社会に通じる児童・生徒の育成」を目指す「富士山教育」が生み出されました。
 この「富士山教育」の振興の一翼を担う使命を,当研修所は担っています。具体的には,「富士山教育研究実践事業」,「外国語指導講師派遣事業」,「研修所事業(研修,学力向上,派遣事業,調査・研究,教育相談)」の3つの柱となる事業を展開し,教職員の専門的力量を高めるための研修と教育諸課題並びに教育指導上に関する研究を推進することで,富士山教育の充実・発展につなげています。
 現行の学習指導要領では,グローバル化や技術革新による予測困難な社会の変化に対応し,子どもたち一人ひとりが未来を切り拓くための資質・能力を確実に育むことが目指されています。これに伴い,学校教育は今,大きな転換期を迎えています。「社会に開かれた教育課程」の編成,カリキュラム・マネジメントの実現,個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実,ICT教育・プログラミング教育の推進,そして,学校・家庭・地域の連携強化など,学校には新たな視点での教育改革への迅速な対応が求められています。
 このような状況の下,当研修所は,本来の役割である「教職員の資質向上と教育研究の充実」を一層強化し,学校・家庭・地域,行政が一体となり,富士吉田市の学校教育を強力に支援してまいります。次世代を担う本市の子どもたちが,郷土に誇りを持ち,夢や希望を抱きながら,逞しく心豊かに育つこと。そして,未来の活力ある富士吉田市を共に創り上げる「人づくり」こそが,私たちの使命です。富士吉田市の教育の根幹を担うべく,所員一同,「一枚岩」となって職務に励み,その使命を果たして参ります。
所長 林 龍樹