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消防団とは?
消防署と同じ?田舎にしかない?消防の素人?消火だけ?・・・では、ありません。

消防団の歴史


1  江戸時代

 消防団の歴史は古く、江戸時代、八代将軍吉宗が、江戸南町奉行の大岡越前守に命じ、町組織としての火消組である店火消(たなびけし)を編成替えし、町火消「いろは四八組」を設置させたことが今日の消防団の前身であるといわれています。各火消組に「いろは」等の名前を付けたことにより、お互いの名誉にかけて競い合って働くという結果が生じ、消防の発展に多大な成果を得ることとなりました。町火消は町奉行の監督下にあったものの、純然たる自治組織であり、経費の一切が町負担で、組織、人員等も町役人の自由に委ねられていました。しかもその費用は、ほとんど器具設備等の購入に費やされ、組員は無報酬でした。そのころの村落部の消防については、駆付消防が主で城下町のような組織的なものはありませんでした。この駆付消防は、古くは「大化の改新」後の5戸制度を起源とする5人組と現在の青年部ともいうべき若者組が当たりました。

2  明治~大正時代

 明治時代、町火消は東京府に移管され、東京府は明治3年(1870年)に消防局を置き、町火消を改組し消防組としました。明治6年(1873年)に消防事務は内務省に移され、東京府下の消防は、翌明治7年(1873年)に新設された東京警視庁に移されたので、東京警視庁では、直ちに消防組に関する消防章程を制定しました。これが明治の消防の組織活動の基礎となりました。しかし、全国的には公設消防組は少なく、ほとんどが自治組織としての私設消防組であり、それも名だけというものが多かったのです。そこで、政府は社会の発展に即応する効率的な消防組織の育成を図るため、地方制度再編成を機会に、明治27年(1894年)に消防組規則(勅令第15号)を制定し、消防組を府県知事の管掌として全国的な統一を図りました。具体的な内容は、消防組は知事が職権をもって設置すべきもので、今までの既設の消防組を認めたり、また市町村が自ら組織したものを認可することではいけないという強硬な絶対的至上命令なもので、消防組は知事の警察権に掌握されながら、その費用は一切市町村で負担するべきものと規定されていました。規則施行後にも、消防組の設立は遅々として進まなかったものの、警察署長等の積極的な働きかけなどにより、大正時代末には飛躍的にその数が増大していくこととなりました。

3  昭和時代(戦前)

 昭和4、5年(1929、30年)頃から、軍部の指導により、民間防空団体として防護団が各地に結成されました。昭和12年(1937年)には防空法が制定され、国際情勢が悪化してゆく中、国防体制の整備が急がれるようになりました。昭和13年(1938年)に内務次官名で消防組、防護団の統一について両団体統合要綱案が通牒され、勅令制定の基礎となる両団体統合の要綱が決定されました。これらを経て、消防団と防護団を統合し新たな警防組織を設けるため、昭和14年(1939年)1月に勅令をもって「警防団令」を公布しました。これにより、明治以来の消防組は解消し、警防団として同年4月1日に全国一斉に発足され、警察の補助機関として従来の水火消防業務に防空の任務を加えられて終戦に至りました。

4  昭和時代(戦後)

 戦後、米国調査団の報告により、警察と消防の分離が勧告され、それに伴い総司令部から警察制度の改革について指示が行われました。内務省は警察制度審議会の答申を受け、昭和22年(1947年)4月30日に消防団令を公布。これにより従来の警防団は解消され、新たに全国の市町村に自主的民主的な「消防団」が組織されることとなりました。しかし、警察制度審議会の答申及び政府の考え方に対して、総司令部は、その民主化の内容が不徹底と考え、答申に沿った警察制度の改革案に了承を与えませんでした。政府は消防組織法案を作成し、総司令部の了解を求めたものの、総司令部は消防制度に関する覚書案を一部修正し(覚書中「市町村公安委員会」を「自治体消防は市町村の管理に属する」と変更)民間情報局作成の法案要綱をあわせて通知してきました。内務省では、これに基づき法案を修正し、昭和22年(1947年)12月23日に消防組織法の公布が行われました。これにより、消防が警察から分離独立するとともに、すべて市町村の責務に移されました。また、消防組織法の趣旨の徹底と勅令であった消防団令を政令に改めるために、昭和23年(1948年)3月24日に新たな消防団令が公布され、消防団は義務設置から任意設置制になり、消防団に対する指揮監督権が警察部長又は警察署長(消防署長)から市長村長、消防長又は消防署長に移され、府県知事にあった市町村条例の認可権や消防団事務の監察権が廃止されました。その後、消防団令は根拠法について明確を欠くものがあり、政令は法律に特別の委任がある場合を除くほか、その規定し得る範囲は憲法又は法律により既に定められている事項を実際に執行するために必要な定めをするいわゆる執行命令に限定されるものであり(憲法第73条第6号)、また法律の委任がなければ義務を課したり、権利を制限する規定を設けることは出来ない(内閣法第11条)ものであるから、そのような性質を持つ政令で消防団に関する基本的な事項を規定しておくことは適当でないという見解のもとに、消防組織法に第15条の2を追加し、同時に消防団令は廃止されました。
 その後、組織法制定後も火災が頻発し日本再建途上の一大障害となっている情勢下で、消防組織の強化、拡充を図るため、昭和26年(1951年)3月に議員立法により消防組織法が改正されました。これにより、任意設置であった消防機関の設置は義務設置となりました。
 このように、消防団は、江戸時代に義勇消防の元祖として発足して以来、様々な変遷を経て今日に至っています。

消防団の位置付け

1  消防の任務

 消防は、その施設及び人員を活用して、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害を防除し、及びこれらの災害に因る被害を軽減することを以て、その任務とします(消防組織法第1条)。

2  消防の組織

(1)  市町村消防の原則

 市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果すべき責任を有します(消防組織法第6条)。

ア   消防機関の設置、管理運営は市町村の責任とされ、消防庁、都道府県は必要な助言、指導、支援等を行います。

イ   大規模災害や特殊災害等に対しては協定に基づく相互応援や緊急消防援助隊により迅速的確に対処します。



(2)  市町村(消防本部、消防署、消防団)の役割

・  消防機関の設置、管理運営

・  火災予防、消火、救急・救助活動、地震、風水害等への対処

・  市町村防災計画の策定及び総合的な防災対策の実施等



(3)  消防機関の概要

 消防は、市町村長が管理します。
 市町村は消防事務を処理するための機関として、消防本部、消防署及び消防団のうち全部又は一部を設けなければなりません(消防組織法第9条)。



(4)   消防団の概要

 消防本部・消防署が設置されていない非常備町村にあっては、消防団が消防活動を全面的に担っています。常備市町村においても初期消火、残火処理等を行っているほか、大規模災害時には、災害防ぎょのため多数の要員を必要とすることから、多数の消防団員が活躍しています。
 平成16年4月1日現在、消防団は3,524団、消防団員は91万9,105人であり、消防団はほとんどすべての市町村に設けられています。団員数は減少傾向にあり、10年前の平成6年4月1日現在に比べ5万4,582人(5.6%)減少しています。この間、女性消防団員数は、8,290人増えて1万3,148人となっています。
 なお、消防団員の年齢構成は、40歳以上の団員が42.2%を占め、また、平均年齢は37.4歳となっています。


大規模災害等における消防団の重要性

1  大規模災害等に備えた取組み

(1)  危惧される大規模災害

 我が国は、その位置、地形や気象などの自然条件から、地震、台風、豪雨、火山の噴火などによる災害が発生しやすい環境にあります。いつ発生してもおかしくないといわれている東海地震では、阪神・淡路大震災をも上回る甚大な被害が想定され、また、今世紀前半での発生が懸念されている東南海・南海地震でも大きな被害が広範囲かつ多重的に発生すると予測されます。
 このような大規模な災害に対応するためには、国としての防災対策はもちろんのこと、地方公共団体の取組み、さらには地域の防災力を高めていくことが必要です。

(2)  地域の防災力向上の必要性

 災害が大きければ大きいほど、常備消防を始めとする防災関係機関等自身が被害を受け、災害対応に支障をきたす場合があるうえに、救助、救援活動において迅速に対応を行ったとしても広域的な応援には時間を要することから、発災直後の初動期における地域住民相互の助け合い、人命救助や初期消火への努力が被害の軽減につながることになります。
 例えば、日頃から消防団を中心に行政機関と住民による自主防災組織との緊密な連携があった淡路島の北淡町では、激震地であったにもかかわらず、被害は最小限に抑えられました。これは、消防、警察、自衛隊などが本格的に機能する前段階などにおいては、住民自らが主役となって防災活動を行うことの重要性を示しています。

(3)  消防団、自主防災組織、NPOなどの連携による地域の防災体制確立

 防災の視点に立っての地域づくりを推進するに当たっては、自主防災組織を始めとする地域住民が、消防本部・消防署や消防団で構成する消防機関との緊密な連携を持ち、一体となって取り組んでいくことが必要です。
 特に消防団は、我が国のほとんどの市町村に設置されている歴史ある組織であり、防災面での十分な訓練と経験を積んでいることから、それぞれの地域でリーダーシップをとり、自主防災組織や住民に対する訓練指導、防災知識の普及啓発を行うことが期待されます。
 また、地域ぐるみで防災力の向上を図るためには、町内会、婦人会、PTA、青年団、商店街、学校、事業所等、地域にある様々な組織や民間非営利組織(NPO:Non Profit Organization)、ボランティア団体等が多面的に防災面で対応力を持つことが望まれ、これらの団体と自主防災組織や消防団との連携を図っていくことが有効です。
 さらに、地域社会において企業が地域の防災活動に積極的な役割を果たしている例も少なくなく、こういった企業の防災活動との連携は地域防災力の向上に大きく役立つものです。



2  地域密着性と要員動員力を活かし大規模災害等で活躍する消防団

(1)  地域における消防団の重要性

 消防団は、市町村の消防機関です(消防組織法第9条)。構成員である団員は、権限と責任を有する非常勤特別職の地方公務員である一方、他に本業を持ちながら、自らの意思に基づく参加、すなわちボランティアとしての性格も併せ有しています。
 阪神・淡路大震災において、消防団は、消火活動、要救助者の検索、救助活動、給水活動、危険箇所の警戒活動など、幅広い活動に従事しました。特に、日頃の地域に密着した活動の経験を活かして、倒壊家屋から数多くの人々を救出した活躍にはめざましいものがありました。こうした活動により、地域密着性や大きな要員動員力を有する消防団の役割の重要性が再認識されました。
 その後、消防庁が、平成13年12月に、消防団を設置する全市町村及び全消防団を対象に調査したところ(以下「実態調査」という。)によれば、全国の9割にも及ぶ市町村が、消防団は非常に重要であるとしています。

(2)  消防団の現状

 経済の高度成長期以降の過密・過疎の進行などや地域社会、就業構造、国民意識の大きな変化に伴い、過疎地域などにおいては、新たに団員として参加する若年層が年々減少する一方、都市部を中心に地域社会への帰属意識の希薄化が生じ、既存の地域組織活動になじみが薄い住民が増加しています。
 団員の年齢構成は、かつて比較的若年層が中心でしたが、近年、30歳未満の団員の割合が減少する一方、40代や50代以上の割合が増加するなど、高齢化が進行しています。
 また、団員の職業構成は、かつて自営業者などが中心を占めていましたが、被雇用者である団員の割合が増加しており、昭和43年の3割弱が、平成14年には7割弱に達しています。
 このような団員数の減少と団員構成の変化が、消防団の運営に影響を及ぼしており、適正な規模の活力ある消防団の確保をいかに図っていくかが、各地域・市町村の切実な課題となっています。

(3)  消防団の特性とその発揮

 消防団は、大規模災害時をはじめとして、地域の安全確保のために大きな役割を果たしています。常備消防とは異なる特性や役割を踏まえながら、今後の消防団のあり方を考えていかなければなりません。
 消防団は、次のような特性があります。

ア  構成員である団員は、地域の住民であることが多く、地元の事情等に通じた地域に密着した存在(地域密着性)。

イ  団員数は、かつてより減少しているものの、なお、全国で約93万7,000人と、常備職員の約6倍強の人員(要員動員力)。

ウ  団員は、日頃から教育訓練を受けており、災害発生時には即時に対応できる能力を保有(即時対応力)。


 消防団が、要員動員力や即時対応力という特性を発揮していくには、各地域の実情に応じた適正な団員数を確保すべきです。消防団を支援する組織を設けたり、これらと連携を図ることも大切です。また、それぞれの団員に対する適切な研修・教育訓練が欠かせません。
 さらに、活動を地域防災面に止めることなく、福祉や環境保全、芸術文化など、他の分野にも、幅を広げることにより、地域密着性がより高められます。
 このほか、外部からの環境整備も重要です。国民や企業が、災害に対して自らが自らを守ることの自覚に加え、消防団が果している指導的役割について認識を高める必要があります。学校教育などの場で地域防災や消防団に対する理解を促進することも重要です。

(4)  大規模災害時等への対応を意識した消防団活動

 実態調査によれば、新たに必要とされはじめた活動としては、「大規模災害を想定した防災訓練」との回答が大都市を中心に多く全体の51%を占めています。また、「大規模災害を想定した訓練」に重点を置くとする消防団は35%であり、「実際の火災を想定した訓練」などに比べまだ低位であるものの、政令指定都市を中心に人口規模が大きくなればなるほど回答率が高くなっています。
 これらの結果から、大都市の消防団では、阪神・淡路大震災の経験にかんがみ、常備消防との役割分担も念頭に置いた上で、大規模災害を意識した活動に取り組みはじめていることがうかがえます。
 大規模災害等の発生のおそれは、大都市部に限られません。今後は、消防団の活動を考えるに際して、いずれの地域においても、大規模災害等への対応を意識する姿勢が求められます。


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安全対策課
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